キモオタ「歳をとると視野が狭くなるんです」老害「いや違うよ! 視野が広くなるんだよ」
キモオタ「貴方はわたくしの意見を受け入れてくれない。それは、視野が狭いということなのでは?」
老害「それは……」
キモオタ「貴方のように杓子定規な考えではなく、色んな角度から多面的に物事を見ないと真理や核心が見えてこないのです」
老害「確かに……」
キモオタ「それに、貴方はよく本を読めとおっしゃいますが、わたくしは、本を読むことが本当に良いことだとは思えません」
老害「というと?」
キモオタ「多種多様の考えや思想を取り入れるという面では、書物には一日の長があるとは思います。ですが、本を千冊読んだところで豊かな人間になるとは思えません。知識が増えても器用貧乏になりますし、視野が狭くなります。人の書いた思想を追っかけているようでは一流にはなれないのです」
老害「……」
キモオタ「自分で動き、見て、聞いて、知り、判断してこそ、卓越した創造力を持った人間になれるのです。ひいては、その人の魅力になるのです。安楽椅子の人類学者では駄目なのです」
老害「……」
キモオタ「その点、わたくしは、『セカイ』を見てきています。人としての深みが違うのです。『セカイ』が私の心の有りようを変えてくれたのです。あなたのように、マレットゴルフをして、高級料理を食べ、旅行するような、うすっぺらい人生とは違うのです」
キモオタ「少し恥ずかしい話になりますが、わたくしの生家では情操教育に力を入れていました。それは、厳しいものでしたが、審美眼、感受性を培うことができました。ですから、わたくしは、『人に何を言われようと好きであり続けること』ができるのです」
老害「……」
キモオタ「おわかりですか? ならよいのです。わたくしは……ま、よく知らねえけど」